「ストームグラスの製作と観察」は、昨年の自由研究の題材でした。
きっかけは19世紀のヨーロッパで使われたと言う、天気予報の道具『ストームグラス』に興味を抱いたことです。
ストームグラスとは、別名『天気管』とも言い、複数の化学薬品をアルコールに溶かして、ガラス管に詰めたものです。
それは近未来の天候を、溶液や沈殿の状態によって、結晶の形で表現すると言うのです。
研究のテーマ
ストームグラスの製作と観察
ストームグラスの成分
それぞれに、代替品を用いることもできるようですが、その場合には、不純物が入ってしまうことによって、結晶や変化が現れなかったり、濁ってしまったり、色がついてしまうなど、失敗してしまう恐れがあるようです。
研究の方法や内容
- 揮発性のエタノールを使用するため、密閉できるスクリュー管瓶を用意しました。
- 計量カップとキッチンスケールを用意し、材料を2つのグループ、A(樟脳、エタノール)とB(塩化アンモニウム、硝酸カリウム、精製水)に分けました。
- AとBは、それぞれ違う瓶に液体を入れて、よく混ぜながら溶かします。
- 溶けたら、Aの中にBを少しずつ入れては混ぜながら、全部入れます。
- すると樟脳の結晶ができて白くなりますが、これを湯煎します。
- その後は、スクリュー管瓶に入れて完成です。
最初は透明の液体ですが、段々と瓶底に、白い結晶が溜まってきました。
それから見やすい所に置いて、毎日、観察してみました。
研究の結果と考察(まとめ)
『ストームグラス』の組成と成分量に関しては、瓶の容量に応じます。
例えば、結晶量が多い場合には、エタノールを足し、結晶量が少ない場合には、樟脳か、あるいは精製水を足すことで、状態を見ながら調整できます。
そして常温で観察し続けてみた結果は、次のとおりです。
- 晴れ : 固形分は完全に底に沈み、液体が澄む
- 雨 : 沈殿物の量が徐々に増え、星型のような結晶が浮く
- 台風(強風) : 固形分の一部が溶液の表面まで達し、葉っぱ型のような結晶が浮く
- 雪(気温が低い時) : 液体が白濁し、浮遊する点状のものが見られる
- 夏(気温が高い時) : 低い所に結晶がある
なお気温が25℃を超える場合は、結晶変化が現れづらいようです。
それから、風や嵐が接近してくるときは、接近してくる方向とは反対側の壁に沈殿しやすいようです。
感想と今後の課題
実際に制作してみたところ、ストームグラスは、およそ6時間から12時間後の天気を予想できるようでした。
また夏の気温の高い日は、沈殿物が低い位置に止まったきり、変化を確認しづらいため、役に立たないようです。
しかし僕は、自作の小瓶を覗き込むことで、天候の予想を、まるで雪を眺められるみたいで、とても気に入っています。
両親も「局地的には、天気予報より当てになるかもしれない」と言って、出かける前には確認しています。
だから今後はインテリアとして、また新しく、今度は大きなストームグラスを制作してみようと思いました。
終わりに
では、どうしてストームグラス内の結晶は、天気に感応して変化するのでしょうか?
調べてみたところ、もっとも有力な説としては、大気の温度や湿度、気圧、大気電気学的な影響等によって、溶解度や結晶形状が変化するため、などと言われています。
そして僕も、おおよそ同じように考えていました。
しかしストームグラスで天気を占える仕組みは、今現在も、完全には解明されていないと言われています。
つまりは19世紀に発明された、科学のミステリーなのです。
参考・引用した資料
ウィキペディアより『ストームグラス』